空き家が増えると周辺の地価が下落する
1月23日午前10時から、総研2階の会議室で、空き家対策の勉強会を開催しました。
今回は、全国空き家対策推進協議会上天草支部の村田智仁事務局長を講師として「空き家対策の現状」について講演を頂きました。
お話の中で特に印象に残ったのは、地域に空き家が増えると周辺の地価にも影響を与えるというお話しでした。
土地財産の所有者にとって、土地の評価額が下がることは辛いことです。その評価額は、自分で決められるものではなく、評価額を出すルールがあります。それは、以下の通りです。
土地評価額は「路線価×地積(㎡)」で算出しますが、接している道路の状況や土地の形状などによっては、定められた補正率で路線価を補正することがあります。補正率は、その土地の地区区分によって変わります。地区区分とは地域ごとに土地の利用状況に応じて国税局が指定するもので、次の7つに区分されます。
・ビル街地区
・高度商業地区
・繁華街地区
・普通商業・併用住宅地区
・普通住宅地区
・中小工場地区
・大工場地区
以上の7つの中で、「普通住宅地」の中で回りに空き家が多くなると、評価額はどんどん下がります。村田さんのお話では、知らない間に数年間で300万円も土地評価額が下がる例もあるということです。
もしも、金庫の中に1000万円の作束を入れていたとして、数年たって開けてみたら、いつの間にか700万円しか入っていなかったら、どうするでしょうか?
知らない間に300万円が消えていたとしたら青ざめてしまいます。つまり土地財産は、お金に換算するとこれとまったく同じことだというのです。
空き家問題は、個人の問題ではなく周辺の地域にも影響を与えることを思うと、地域全体の問題として考える必要があります。
地域で取り組むとどんどん良くなる!
次に印象的だったのは、地域で空き家の利活用をする取り組みで、ボランティアで集まった人たちが、喜んで作業をしていたというお話しです。
この取り組みについては、今年1月20に熊日新聞に掲載されています。
空き家の整備には、地域住民の理解と協力が大切ですが、村田さんが取り組んだ玉名市上小田地区では、日本マラソンランナーの父といわれる金栗四三の住家近くの古民家を「金栗四三ランニングステーション」として利活用する取り組みです。
そのために、地域住民にボランティアを呼びかけたら、瞬く間に30人ほどの人が集まり、通常数週間かかる清掃整備がわずか2時間で終了したというのです。
終わった後に笑顔満面の参加者から、「今度はいつやるのですか?」という質問が出るほど、楽しい雰囲気だったそうです。このことから、空き家対策は、地域づくり、住民の意識の高揚と活性化につながることを改めて感じたそうです。
その後質疑応答がありましたが参加者からも、積極的な質問が飛び交い、空き家対策はやはり住民主体で進めることが重要だと強く思いました。